最近、「WANDERING ANIMALS〜あまのじゃくとへそまがり作品集」という本を読みました。
革作家の「あまのじゃくとへそまがりさん」が、この世に存在している怪しい生きものたちにスポットを当て、革作品に仕上げてまとめた、とても愉快な作品集です。
まえがきで、作者いわく、
「とるに足らないものだと決めつけて通り過ぎてしまう前に、一旦、立ちどまって、しゃがんで、眺めてみる・・・そのほんの些細な姿勢の変化で、見えてくる景色が違ってくるということを、制作活動を通じて何度も経験することが出来た。
生きものたちから教えてもらったと言える。もし仮に不本意であったとしても、本書を手にし、私の作品を目にすることで、生きものの存在を知り、印象が変わり、新たな魅力に気づいたりしてくれる方がいれば幸いである。」
とのこと。
作品の縫製はすべて手縫いだそうで、おそらく1冊に仕上げるのに相当な手間がかかっていると思われます。
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そして、ひとつひとつの作品は実用性も兼ねているところがポイントですね。
シーラカンスは・・・
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ショルダーバッグとして。
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ウモウダニは・・・
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リュックとして(笑)。
あと、生物学者によるコラムが各いきものたちのページに紹介されていて、その生きものたちの生態を学ぶことができるのもいいですね。
例えば、このウモウダニに関しては、
「羽毛上に数百と並ぶのは極小生物ウモウダニだ。鳥の羽毛は定期的に生え変わり、翼の風切羽は1枚ずつ順に抜けては生える。この時にウモウダニの大移動が生じる。次に抜ける順番の羽毛の上から、事前に誰もいなくなるのだ。抜けるまではその羽毛は普通の羽毛である。しかし、彼らは未来を察知し、抜ける前に羽毛を見捨てて移動する。なぜ、もうすぐその羽毛が抜けるとわかる?自然界は未だ謎に満ちている。(川上和人)」
とのこと。
革作品を楽しみながら、この世に存在する怪しい生きものたちについて学ぶことができるこの本は、僕にとっての久々のヒット本でした。
ここ1年間で読んだ中では、ジャンルは全く違いますが「サピエンス全史」と同じぐらいの満足度ですね。
革小物や怪しい生きものたちに興味がある方、小学生〜中学生ぐらいのお子さんがいらっしゃる親御さんに特にオススメします!