【書評】1日1万歩を続けなさい 〜 歩数が多いほど死亡率は低下する!?
今回は「1日1万歩を続けなさい」という本をご紹介します。
僕はこれまで「〜しなさい」といったタイトルの本を読むのは極力避けてきました。
なにしろ幼稚園の先生に、左利きを右利きに直すように言われても徹底して拒んだ人間ですので(苦笑)。
そんなマイペースな僕が、ついに「1日1万歩を続けなさい」という本書を読み、こうやってコラムで紹介するということは、この本を読んで良かったということの裏付けでもありますね。
本書は、ウォーキングに関する論文や研究データなどの情報量が豊富で、科学的根拠を元に効果的に歩くための方法がわかりやすく紹介されています。
また、さまざまな病気や症状で悩んでいる人にとって、ウォーキングがいかに効果的なのかもわかりやすく紹介されていますので、そういった悩みを抱えていらっしゃる方にもお勧めです。
著者は、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生です。
全国屈指の患者数を誇る呼吸器内科の専門医として、メディアなどでも情報発信を行なわれています。
ということで、早速参りましょう。
◾️面白かった話
・歩数が多いほど死亡率は低下する
1日1万歩を続けなさい、という大谷先生の主張は、このグラフがすべてを物語っていると思いましたので最初にご紹介します。
横軸は1日の平均歩数で、縦軸は年間の死亡率になります。

※引用「1日1万歩は続けなさい」より
アメリカ国立がん研究所の研究グループが40歳以上の男女約5000人について「1日の歩数と死亡率の関係」を調べたところ、1日4000歩の人よりも1日8000歩の人の死亡率がなんと半減していたことがわかりました。また、8000歩よりも10000歩の人の方がさらに死亡率が低いこともわかりました。
つまり、歩けば歩くほど死亡率が低下し、その結果、健康寿命も伸びるっていうことですね。
ちなみに、1万歩から1万6000歩にかけての死亡率は大きく変わらないため、大谷先生も目安として1日1万歩を推奨しているわけです。
とにかく、このグラフの曲線カーブを見れば、1日1万歩を目指したほうがいいと言えますし、1万歩が無理でも8000歩、それが無理でも最低6000歩は目指したいものですね。
・1万歩を一気に歩く必要はない
「1万歩も続けて歩く体力も気力もない、まとまった時間もない」というあなた。
そんなあなたにも良い情報があります。
アメリカのジョージワシントン大学の研究チームの調査では、
・午前10時30分から45分ウォーキングを行う場合
・午後4時30分から45分ウォーキングを行う場合
・毎食後15分、1日計3回ウォーキングを行う場合
を比較して、血糖値を調べたところ、ウォーキングを行わない日に比べて、毎食後の短時間のウォーキングが血糖値を最も低下させていたことがわかりました。
つまり、血糖値を下げるという点において、細切れのウォーキングは有効だったということですね。
本書によると、ドイツ体育大学の研究でも、食前より食後に歩いたほうが血糖値の急上昇を抑える結果が出ているそうです。
1万歩を一気に歩く必要はなく、時間がある時に小分けで歩いてみること、そして、1万歩が無理な方でも、まずは朝昼晩の食後に少しだけ歩いてみるというところから始めてみてはいかがでしょうか。
・ウォーキングの前にコーヒーを飲む
スペインのグラナダ大学の研究グループが行った調査によると、午前でも午後でもウォーキングの30分前にカフェインを取ると、ただの水を飲むより最大脂肪酸化率が上がっていたことがわかりました。
そこで大谷先生は歩く30分前のコーヒーをお勧めしています。
カフェでのんびりコーヒーを味わってからお散歩を楽しむ休日も楽しそうですね。
・ウォーキングのお供は「水」でいい
「ウォーキングでは糖分過多のイオン飲料の飲み過ぎには気をつけてください」と大谷先生。
汗の99%は水で残りが塩分やカリウム、マグネシウムなどのミネラルです。
夏の暑さに慣れる前にベタベタした汗を大量にかいたときは塩分補給のためにイオン飲料を適度に飲み、それ以外の時期の喉の渇きは「水」か「ノンカフェインのお茶」で十分とのことです。
また、脱水症状になったときは、イオン飲料よりも経口補水液(例:OS-1など)のほうがおすすめだそうです。
◾️さいごに
今回は、僕が面白いと思った話をいくつかご紹介しましたが、他にも、体や脳、様々な病気予防に対するウォーキングの効果など、有益な情報が盛り沢山の本書。
老若男女問わず、無理なく安心して続けられるウォーキングは、数多く存在する健康法の中でも最高峰だと思っています。
本書や僕のコラムをモチベーションアップのきっかけにして、ぜひ歩くことを楽しんでくださいね。
「1日1万歩を続けなさい」(Amazon)
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