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【書評】 病気の9割は歩くだけで治る!part3〜 自律神経と腸をととのえるために歩こう 〜







今回は、「病気の9割は歩くだけで治るpart3」という本をご紹介します。

著者は、医師として兵庫県にあるご自身のクリニックで診療をしながら、数多くの健康本を世に出している長尾和宏先生です。
以前、この本のシリーズのpart1part2をコラムでご紹介しました。

今回のpart3では、全身の健康を左右する「自律神経」と免疫細胞の7割が集まる「腸」に着目し、「歩くこと」がそれらにどのような影響を与えているのか、ということが詳しく書かれています。

今回のコラムでは、本書の解説や個人的に面白かったところをご紹介したいと思います。




◾️自律神経とは? 〜自律神経のバランスが心身の健康を左右する〜


自律神経は、血管やリンパ管、内臓の中や脂肪、手足など、全身に張り巡らされていて、「自律」という字のとおり、自分の意思とはほぼ関係なく働いている神経で、腸の動きをコントロールしたり、心拍数を調整したり、体温を調整したりと、体内の状態を一定に保つために24時間休みなく働いてくれています。

この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。

交感神経が優位になっている時には、血管は収縮し、血圧や心拍数は上昇、筋肉も緊張して、体はアクセルがかかっている状態になります。
逆に、副交感神経が優位になっている時には、血管は緩み、血圧や心拍数は下がって、筋肉も緩みます。

自律神経は、交感神経と副交感神経がシーソーのようにバランスを取りながら働くように、脳の視床下部が司令塔となって判断しています。
日中の活動時には交感神経が優位になり、休息時には副交感神経が優位になるというように、1日の中でメリハリがあり、バランスよく働いているのが良い状態です。

ところが、ストレスが多かったり運動不足の生活が続き、自律神経のバランスが崩れると、血圧や血糖値が上がり、さまざまな病気や不調を引き起こしてしまいます。

自律神経のバランスを整えることが心身の健康のために重要なこと、ということですね。




◾️脳腸相関とは?〜幸せホルモン「セロトニン」は9割以上が腸で作られる〜


最近では、脳と腸には密接な関係があることがわかってきました。
その関係性を「脳腸相関」といいます。

人前で話をするなど、緊張するときにお腹が痛くなったり、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の9割以上が腸でつくられるということも良い例です。
腸内環境が良いと、セロトニンも安定してつくられるので心も安定します。
しかもセロトニンは自律神経の働きを調節する作用もあるので、腸内バランスはセロトニンを介して自律神経のバランスにも影響を及ぼす、ということです。



「腸の内側の表皮の中に、体内の免疫細胞の7割が集まっています」と長尾先生。

腸内に善玉菌がたくさんいると弱酸性に保たれ、腸内がよい状態になります。
腸内環境が良ければ、腸に集まる免疫細胞が増え、より元気に働いてくれるようになります。
つまり腸の状態は全身の免疫力を左右します。

免疫力を高めて、病気や感染症を予防するために、「自律神経」と「腸」の両方を意識することが大切ということですね。




「腸を動かすためには歩くことが欠かせません」と長尾先生。

歩くと副交感神経が優位になります。
胃腸を動かすのは副交感神経なので、歩くと胃腸の蠕動運動が促されて便が出てお腹がすくという好循環になります。

つまり、

自律神経も腸も「歩くこと」で整う

ということですね。



◾️自律神経と腸をととのえるために歩きましょう。


それでは、自律神経と腸をととのえるために、どのように歩いたらいいのでしょうか?

長尾先生は、「気持ちがいいと感じられる速度で歩く」ということを推奨されています。


体調がいいときは自然と速く歩きたくなるはずですし、反対に不調な時は無理せずゆっくり歩く、つまり頑張りすぎない、ということがポイントです。

例えば、脈拍数が高かったり、イライラしていたり、気持ちが高ぶっていたり、気がかりなことがあったりすれば、交感神経が優位になっているサインです。そういう時はゆっくりと大股で歩きましょう。



◾️Jカーブとは? 〜 適度な運動が免疫力を高める 〜

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引用: 病気の9割は歩くだけで治る!part3



Jカーブと呼ばれるこの図を見ていただくとわかりますが、ウォーキングのような適度な運動は、免疫力を高めて風邪や感染症予防になります。

しかし、過度で激しい運動は体をサビさせ、老化のもととなる活性酸素を増やし、体にとってストレスとなります。

ぜひ気持ちがいいと感じられる速度で歩くようにしましょう。




◾️インターバル速歩のすすめ


以前のコラムでもご紹介した「インターバル速歩」ですが、本書の中でも推奨されていました。

早歩き(または軽いジョグ)とゆっくり歩きを数分間ずつ交互に何回か繰り返す方法をインターバル速歩と言います。

インターバル速歩は、信州大学の研究により、以下のような効果が証明されています。

・筋力が10%向上、持久力は最大20%向上
・高血圧、高血糖、肥満などの生活習慣病が20%改善
・うつ症状が50%改善
・睡眠の質が改善
・認知機能が改善
・膝関節症の症状が50%の人で改善
・骨粗しょう症が改善


インターバル速歩は交感神経と副交感神経が交互に刺激され、自律神経を鍛えられる運動です。

自律神経や腸をととのえるために、無理のない範囲で、緩急という小さな変化を楽しみながら歩いてみてくださいね。



◾️まとめ

・幸せホルモンのセロトニンの9割以上が腸で作られる
・セロトニンは自律神経のバランスを整えてくれる作用もある
・腸には7割の免疫細胞が集まっている
・腸内環境を整えることで免疫細胞がしっかりと働く
・歩くことで自律神経と腸内のバランスを整えることができる
・気持ちがいいと感じられる速度で歩く
・無理のない範囲でインターバル速歩も試してみよう



◾️さいごに


今回は、「病気の9割は歩くだけで治るpart3」という本を紹介させていただきました。
長尾先生はこれまでに100歳以上の患者さんを何十人と診てこられたそうですが、共通点は「日頃よく歩いている」そして「よく笑い、おおらか、つまり機嫌がいい」ということだそうです。
機嫌が悪くていつも怒っているような人で100歳まで生きた人は見たことがないそうです(笑)。
怒りという感情で交感神経優位になり、自律神経のバランスを乱してしまいますからね。
健康で長生きするためにも、よく歩き、よく笑い、ご機嫌な毎日を過ごしたいものですね。

ということで、今回の話は以上です。




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