【書評】『LIFE SPAN(ライフスパン)』〜 人類は150歳まで生きることができる!? 〜
今回は「LIFE SPAN(ライフスパン)」という本をご紹介させていただきます。
本書は、ハーバード大学医学大学院遺伝学教授で、老化の原因と若返りの方法に関する研究で世界的に有名な科学者のデビッド・A・シンクレア氏によって書かれた科学書です。
老化という現象がどのようなもので、なぜ老化は「病気」だと著者は捉えるようになったのか?老化を遅らせ、食い止め、逆転させるために、現在開発中の医学療法を紹介し、そして、老化を治療できたらどのような未来が訪れるのかが書かれています。
遺伝子や科学的な用語が出てくる所など難しいところもありますが、著者の熱い思いと軽快な文章で、終始ワクワクしながら読むことができました。
こんな方にオススメします
・いつまでも若々しくありたい、健康で長生きしたいと願っている
・最先端科学とテクノロジーを通じて、老化のメカニズムを知りたい
そういった方に本書をオススメします。
面白かったところ
以前のコラムとかぶる内容でもありますが、シンクレア氏も老化を予防するために運動することを勧められていたのでご紹介します。
運動によって
・長寿遺伝子がプラスの方向に調整される
・テロメアが伸びる
・細胞に酸素を運ぶ新しい微細血管ができる、
・ミトコンドリアの活動が高まって化学エネルギーが増える
といった運動効果が、加齢とともに減少することは、以前から知られていた。
新しくわかったのは、運動によるストレスの影響を最も強く受ける遺伝子が、それらの機能を若い頃の水準に引き戻してくれるということ。
つまり「運動が遺伝子のスイッチを入れ、私たちを細胞レベルで若返らせてくれるのだ」とシンクレア氏は説いています。
ほかにも、
5万5000人あまりの被験者を約15年間フォローした最近の研究によれば、
週に約6・5~8キロ走るだけでも、心臓発作で命を落とすリスクが45%減り、全死因死亡率が30%下がることがわかったそうで、
驚くべきは、運動量がどれくらいであっても、ほぼ同じような健康効果が認められたこと。
1日に5~10分程度軽くランニングするだけの人でも、走る習慣のない人より数年長く生きたのだ。
とのことです。
長時間走るのは厳しいかなという方でも、1日5分程度の軽いジョギングでしたらできそうな気がしますね。
<理想の運動強度は?>
理想の運動強度についても綴られていましたのでご紹介させていただきます。
メイヨー・クリニックの研究チームが、いくつかの年齢集団において異なる種類の運動の効果を調べた結果、
健康を増進する遺伝子を一番多く活性化したのは「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」だったとのこと。
(HIITとは、高強度の運動と、少しの休憩を交互に繰り返し行うトレーニング法のこと)
これを行なうと、心拍数や呼吸数が著しく上昇し、高齢の被験者ほど、HIITによる活性化効果が大きかったとのこと。
当然ながら汗をかき、一息つかないと二言三言しか話せない状態になるが、このような状態は体に適度なストレスを与え、老化に対する体の防御反応を活性化させてくれるとのことです。
※高強度インターバルトレーニング(HIIT)については、様々な本や動画などでも紹介されていますので、興味がおありの方はチェックしてみてください。
ここでのポイントは、高齢の被験者ほど、HIITによる活性化効果が大きかった、というところだと思います。
これは希望が持てますよね!
もちろん、年齢や体の健康度と相談しながらではありますが、ご自身にとっての少しきつめの運動と少しの休息を交互に行うこのインターバルトレーニングは、個人的にも強くオススメします。
<間欠的断食とは?>
あと、自分でも試してみたいと思った「間欠的断食」をご紹介します。
間欠的断食とは、「食事の量は普段と変えないものの、食事を抜く期間を周期的に差し挟む」というものだそうです。
一定の時間だけ体を飢えさせることによって、サバイバル回路を始動させることが目的で、
例えば、
・朝食を抜いて遅い昼食をとる
・週に2日はカロリーを75%に減らす
・週に2~3日は食物をいっさい摂らない
・毎月丸々1週間を空腹で過ごす
などさまざな方法があるそうです。
そして、シンクレア氏は、この<間欠的断食>と<運動>の組み合わせを推奨されています。
他にも、長寿遺伝子を働かせるために、快適とはいえない寒さに身をさらすのも1つの有効な手段とのことでしたので、あえて薄着でウォーキングをするといったことを個人的にも試してみたいなと思っています。
ただ、これは著者も説いていましたが、こういった健康法を「適度に行うこと」がポイントかなと僕も思いました。
まとめ
僕自身、生涯現役で仕事をし続けることが大きな目標でしたので、この本を手に取りました。
ただ、実際にこの本を読む前は、その目標が少し漠然としたものでしたが、この本を読んでみて、「これは100才で現役もいける!」と、明るく確かな希望を持つことができました。
その目標を達成できるかどうかは別にして(苦笑)、そう思わせてくれただけでも、僕にとっては読む価値があった一冊でした。
また、本書の中で、老化を遅らせたり、治療したりするためのサプリメントや開発中の薬などが紹介されていました。
もちろん、賛否はあると思いますが、それらのエビデンスが積みあがるのを心待ちにしながら、運動や食事など十分なエビデンスが積みあがったものを適度に実践していきたいと思います。
ということで、今回は「LIFE SPAN(ライフスパン)」という本をご紹介させていただきました。
興味がおありの方は、ぜひ一度読んでみてくださいね。
関連記事
-
【書評】60歳からの「筋活」〜 一生歩ける・動ける体のつくり方 〜
今回は「60歳からの筋活」という本をご紹介します。
-
【解説】新しい「足」のトリセツ #1〜 歩く力を落とさない!足の専門医が直伝「アキレス腱伸ばし」 〜
新しい「足」のトリセツという本の解説をします。
-
【書評】習慣の力 〜 朝散歩を習慣にする鉄則 〜
今回は、「習慣の力」という全米でベストセラーになった1冊をご紹介します。
-
【コラム】80才以上の方でも安心して歩ける靴の選び方
今回は、80才以上の方でも安心して歩ける靴の選び方についてお話しします。
-
【書評】ウォーキング・セラピーとは? 〜ストレス・不安・うつは「歩くこと」と「◯◯こと」が効果的!〜
今回は「ウォーキング・セラピー」という本をご紹介させていただきます。著者は、自身のうつ病と依存症をウォーキングによって克服した経験から「ウォーキングセラピー」を提唱した臨床心理士です。
-
【書評】病気の9割は歩くだけで治る!~ 歩くことは、どう身体にいいのか? ~
「病気の9割は歩くことで治る!」という本をご紹介させていただきます。