【解説】新しい「足」のトリセツ #1〜 歩く力を落とさない!足の専門医が直伝「アキレス腱伸ばし」 〜
今回から「新しい足のトリセツ」という本を、何回かに分けて解説していきたいと思います。
著者は、日本で唯一の「足」を専門的に治療する総合病院、下北沢病院の医師と理学療法士の先生方です。
理事長の久道先生は、皮膚科医としてアメリカに留学している時に足病医学の世界に触れ、「足」と「歩行」の状態が、人が元気に生きるうえで、そして健康寿命を伸ばすうえで、非常に重要な要素だと気づき、その経験が「足」を専門的に治療する病院をつくるきっかけとなりました。
本書では、外反母趾、扁平足、足底腱膜炎、冷え、むくみなど、足にまつわるさまざまな病気や不調を予防し、悪化させないために、
「アキレス腱伸ばし」
「脚の筋トレ」
「アーチを守るセルフケア」
「靴との付き合い方」
といったことについて、イラストを活用しながらわかりやすく解説しています。
・いつまでも自分の足で歩き続けたい
・足(脚)のセルフケアについて知りたい
・足について興味がある
といった方々に、本書をオススメします。
これから何回かに分けて、本書の内容をできるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
アキレス腱伸ばし
第1回目の今回は「アキレス腱伸ばし」について解説します。
<アキレス腱の硬さチェック>
まずは、ご自身のアキレス腱の硬さをチェックしてみましょう。
通常のアキレス腱を伸ばす体勢をとります。
前側の脚をゆっくりと曲げたとき、後ろの脚のすねが10度以上倒せるか確認してみましょう。
もし、すねが前に倒れづらいようでしたら、アキレス腱が硬くなっている可能性があります。
<アキレス腱の柔軟性がなぜ必要なのか?>
まず、歩く力を維持するために、アキレス腱の柔軟性がなぜ必要なのか?ということについて解説します。
アキレス腱は、ふくらはぎの膨らみを作っている下腿三頭筋とかかとの骨をつないでいる人体最大の腱です。
白くて硬く、15センチほどなのに、1トンの重さにも耐えうるほど強靭だと言われているそうです。
そのアキレス腱が硬いと、主に2つの問題が起こります。
1つ目は、歩く際に、足のアーチに負荷がかかることです。
私たちの足は平らではなくアーチ構造になっているため、全身の体重を支え、歩く時の衝撃を和らげることができます。
しかし、アキレス腱が硬いと、歩行中、足を踏み出すときにアーチをつぶすような動きになってしまいます。
足のアーチに余分な負荷をかけないためにも、アキレス腱の柔軟性を保つ必要があるわけですね。
2つ目は、足&脚の血流低下の原因になることです。
ふくらはぎは第二の心臓ともいわれ、その伸縮する動きがポンプ作用となり、静脈の血液を押し上げる役割を担っています。
アキレス腱につながっている下腿三頭筋がしっかり使われないとふくらはぎのポンプ作用が落ち、冷えやむくみが起きやすくなります。
つまり、アキレス腱の硬さは健康にも悪影響を与えうるということですね。
<アキレス腱伸ばしを実際にやってみよう>
まず、壁の前にたち、両手を壁に当てて、伸ばしたい方の足を一歩後ろに下げます。
つま先はまっすぐ前に向け、かかとは浮かさないようにしましょう。
つづいて、
壁に体重をかけ、前の方のひざをゆっくり曲げます。
アキレス腱の伸びを感じながら30〜60秒その体勢を維持します。
このとき、つま先が真っ直ぐ前に向いていなかったり、後ろ脚の膝が曲がっていたり、反動をつけて行ったりすると効果が薄れますので注意しましょう。
その後、足を入れ替えて同様に行います。
左右とも5回ずつを目安に実践してみましょう。
以上が、アキレス腱伸ばしの方法になります。
<補足>フレックスクッション紹介
最後に、本書で紹介されていたわけではありませんが、サンテプラスという会社が製造販売している、フレックスクッションをご紹介します。
もともとは骨盤や股関節周りの筋肉をストレッチするためのクッションですが、適度な傾斜で、硬すぎず柔らかすぎず、なおかつ作りもしっかりしているので、僕はこのクッションを活用して、自宅のリビングでアキレス腱伸ばしをしています。
また、このクッションの上で足踏みをしたりすることで、ふくらはぎの筋肉や足裏にある内在筋を効果的に鍛えることができます。
通常サイズとミニサイズがあり、オススメは通常サイズですが、値段を抑えたい、省スペースで使用したいという場合は、ミニサイズでも僕のような使用方法でしたら活用していただけます。
興味がおありの方はリンクを貼っておきますのでチェックしてみてください。
ということで、今回の話は以上です。
次回の動画では、「歩くために必要な足のアーチ」について解説します。
※「新しい足のトリセツ」(日経BP社/amazon)
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