【書評】ウォーキング・セラピーとは? 〜ストレス・不安・うつは「歩くこと」と「◯◯こと」が効果的!〜
今回は「ウォーキング・セラピー」という本をご紹介させていただきます。
新型コロナウィルスや自然災害などをはじめ、様々なストレスに満ちた現代社会においては、不安やうつなどに苦しむ方も少なくはありません。
この本の著者は、自身のうつ病と依存症をウォーキングによって克服した経験から、「ウォーキングセラピー」を提唱した臨床心理士で、ストレスや不安を解消させるための最大の解決策は「歩くこと」だと主張しています。
<こんな方にオススメします>
本の中では、ストレスや不安、うつ、依存症などに苦しむ著者のクライアントの事例を元に、歩くことを通じてどのような効果があったのかということや、彼らの生の声が数多く紹介されています。
また、実践的で役に立ちそうな方法がエクササイズとして数多く紹介されているのが、この本の特徴です。
以上のようなことから、この本は、
・現在、ストレスや不安、うつなどに悩まされている方やそのご家族や友人
・カウンセラーや治療家、教育者
などにオススメします。
ウォーキングセラピーとは?
ウォーキングセラピーの大きな利点は、簡単であることです。必要なのは、歩くための時間を確保すること、そして、心を落ち着かせて五感を活性化し、困難に向き合いながら歩ける場所を見つけることだけなのですから。(「はじめに」より)
今回は、第2章の「本当の自分への第一歩」に焦点を当てて、そのウォーキングセラピーとはどのような手順で行うものなのかをご紹介します。
<準備する>
・まず、スケジュール帳に歩く時間を書き入れます。
・1週間のうちにウォーキングのための時間を1時間確保します。
・歩く時間帯は、朝がお勧めです。
<どこを歩くか?>
自然の中を歩かなければウォーキングセラピーの効果を得られないわけではないが、可能な限り、緑の多いエリアを探すことが重要です。
例えば、通勤の一部を徒歩に変えるのはどうでしょう?
地図を広げ、緑の多いエリアや散歩にちょうどいい道を探してみましょう。
<ウォーキング日記>
歩いた日時と場所、スタート前の気分を記録し、歩き終わった後に感想と、道中での自分や周囲の様子について気づいたことをメモする。
自分の時間を責任を持ってコントロールするために、この「書く」というプロセスがとても大切だそうです。
歩き始める前の気持ちを書き留めることで、これから始まる旅に向けて心の準備をし、予測ができる状態になります。
「自分のための行動」に神経を集中させるという意味で、これは大切なステップです。
クライアントの実際の日記が紹介されていたので、参考にしてみてください。
<歩き方>
ウォーキング・セラピーに初めて挑もうとする段階では、多少なりとも不安や気分の落ち込み、ストレスなどを抱えているはず。
そのため、そうした内面の現状は往々にして、動きが遅い、視線が下がる、肩を落としているなどの形で外見に表れるものでもあるでしょう。
そうした重荷を背負っているような感覚を少しでも軽くするためにできることとして、以下のような心構えを勧めています。
・頭を下げて歩く代わりに、姿勢を意識して、目的と自信を持って歩く。
・ 「自信のあるふり」でも構わないから、まずは5~10分試してみること。
・「ふり」であっても、「ピグマリオン効果」という"信じて願い続けたことが現実になる現象"が期待できますが、今の段階では、「自信を持って歩くことには意味がある」とだけ覚えておけばいいとのこと。
しっかりした姿勢で歩いているときには、脳から体に「思い切って力強く動け」と指令が送られていて、思い切り体を動かせるようになると、それが自己肯定感を醸成し、さらなる自信を生み出すようです。
<IT機器を置いていく>
ウォーキングセラピーの第一の目的は、自然との間に癒しの関係を築くことだから、できる限り電子機器は自宅に置いていくようにしましょう。
ウォーキングの時間は、他人に邪魔されない自分のための時間です。
以上が、ウォーキングセラピーの手順になります。
まとめ
歩く時間をスケジュール帳に書き留めることや、ウォーキング日記に考えや気持ちを書き留めること、つまり「書き留めること」がウォーキングセラピーの大きな特徴だと思いました。
「歩くこと」と「書くこと」で、日頃気がつかなかった自分自身に出会えたり、抱えている課題を可視化することができるはずです。
ただ、著者は、今あなたが抱えている困難を「解決すること」ではなく、ありのままに見つめる姿勢が大事だと説いています。
ウォーキングを始めると感情を整理するゆとりが生まれ、心を癒す自然の力を実感できるようになるはずです。
あとは、歩くことや人生の目的や望みを明確にすること。
このことは、アレクサンダーテクニークの観点から言っても、姿勢や身体の使い方に必ずいい影響を与えますから、日頃から意識してご自身の望みを明確にして、それを書き留めておくことをお勧めします。
今回は「ウォーキング・セラピーの手順」に焦点を当ててご紹介しましたが、それ以外にも、ストレスや不安、うつ、習慣病など、個別の事例やエクササイズ方法などが数多く散りばめられています。
それらを参考にしながら、リラックスして、あらゆる「騒音」から逃れて、自分の直感に耳を傾ける時間を作ってみてはいかがでしょうか?
ということで、今回は「ウォーキング・セラピー」という本を紹介させていただきました。
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