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【書評】習慣の力 〜 朝散歩を習慣にする鉄則 〜




今回は、「習慣の力」という全米でベストセラーになった1冊をご紹介します。


著者は、ニューヨークタイムズ紙の記者、チャールズ・デュヒッグ氏。
ビジネス記事を中心に執筆し、これまでに様々なジャーナリズム関係の受賞歴があり、講演活動なども積極的に行っているそうです。

本書の構成は3部に分かれていますが、この動画では、第1部の個人の習慣にフォーカスして、習慣のメカニズムとはどのようなもので、どうしたら運動を習慣にできるのかについて解説したいと思います。



習慣のメカニズムとは?

デューク大学の研究者が2006年に発表した論文によると、毎日の人の行動の、じつに40パーセント以上が、無意識の「習慣」だったそうです。

その「習慣」というものがどのようなメカニズムで成り立っているのかを、本書ではラットの実験を通じて解説しています。


この実験を簡単にご説明すると、

迷路の装置があり、クリック音が鳴ると仕切りが取り払われ、ラットは、匂いを求めてうろうろしながら、迷路の奥にあるチョコレートを発見する

という実験です。


何度もこの実験を繰り返し、ラットの脳の活動がどう変化していくのかを調べたところ、

最初のころは、迷路の途中、ラットの脳はずっと活発に活動していましたが、ラットはだんだん匂いを嗅ぐのをやめ、ゴールまでの時間も短くなり、そして1週間もすると脳の活動も低下していました。

つまりラットは迷路の途中で考えなくなってた、ということです。

このラットの行動のように、考えずに無意識に行えるようになる脳のプロセスが習慣化の基本になります。


これを人間の習慣に例えると、車の運転が良い例ですね。

運転することが慣れた人がポケットから車のキーを取り出すと、その後の複雑な運転作業を頭で考えずにできるようになります。

ちなみに、この無意識のときに、脳にある基底核という神経組織が働くことで、他の脳の部分を休ませることができるそうです。

つまり、習慣がつくられるのは、脳が常に楽をしようとするからで、習慣にしたほうが労力を節約できるからなんですね。



脳の中で起こっている3段階のループのプロセス


習慣において、脳の中で起こっているプロセスは3段階あります。

それは、「きっかけ」「ルーチン」そして「報酬」です。


第1段階は「きっかけ」で、これは先ほどの実験のクリック音にあたり、脳を無意識で行うモードに切り替え、どの習慣を使うかを伝える「引き金」になります。

次は「ルーチン」で、ラットが迷路を進む行為にあたり、きっかけに反応して起こる行動や思考になります。

そして最後が「報酬」で、この実験のチョコレートにあたり、ある具体的なループを、将来のために記憶に残すかどうか、脳が判断する役に立つものになります。 


時間が経つにつれて、このループはどんどん無意識に起こるようになり、きっかけと報酬が脳の中でつながると、強力な期待や欲求が生まれ、やがて、ひとつの「習慣」が生まれるのだそうです。

この習慣のメカニズムやループ構造を理解することが重要なことだと著者は説いています。



習慣を生み出す力

ここで、先ほどお伝えした「報酬への期待や欲求」すなわち「習慣を生み出す力」について解説します。

ケンブリッジ大学神経科学科のシュルツ教授は、

サルにモニターを見せて、色つきの模様が現れたときにレバーに触れると、天井からぶら下がるチューブを伝って、好物のジュースが1滴、サルの唇に落ちてくる

という実験をしました。

はじめの頃、サルはほとんど興味を示しませんでしたが、最初のジュースが落ちてきたとたん、モニターにぐっと集中し、何十回か繰り返した末に、モニター表示が「レバーに触れる」ための「きっかけ」であり、最後にジュースという「報酬」が得られることを理解しました。

そして、このサルの脳を調べたところ、この習慣が定着するにつれて、期待し、報酬を求めるようになったことがわかりました。

つまり、「大好きなジュースが欲しい!」という「欲求」こそが習慣を生み出していた、ということです。


もしあなたが、朝のお散歩やジョギングを習慣にしたいのなら、

例えば、きっかけは、

・寝る前に枕元にお気に入りのウエアを置いておく
・玄関先に履き心地のいいウォーキングシューズを用意しておく

といったことで、

報酬は

・体にいいスムージーを飲む
・走行距離や歩数を記録する
・朝日の気持ちよさを感じる

といったものが挙げられます。


このようにワクワクするような「きっかけ」や自分にとって魅力のある「報酬」を選ぶことで、先ほどのサルのように、いずれ脳がその報酬を期待して欲するようになり、いつの間にか、それが習慣化されるはずです。


リサの物語

本書のプロローグの、リサという一人のアメリカ人女性の話がとても印象に残ったので最後にご紹介します。

リサは、16歳でタバコとお酒を始め、幼い頃から肥満に悩まされていました。
20代半ばで1万ドルの借金を抱え、就いた仕事も長くは続かず、結婚した夫の浮気が原因で離婚しました。
心身ともにボロボロの状態でしたが、思いつきでエジプトの首都カイロを旅することになります。
リサはタクシーに乗って広大な砂漠を旅して回ったそうですが、旅をしているうちに、自分を哀れむ気持ちはどこかに行ってしまい、ついにタクシーの中でリサはこう決意しました。

「1年後、またエジプトに戻ってきて、この砂漠を横断しよう」

そして、リサはこの望みを達成させるために、「タバコをやめよう」と決意しました。
その半年後にはジョギングを始め、食生活や働き方、睡眠などが変わり、大学に戻り、家を買い、体重も減り、婚約もしたそうです。

つまり、「また砂漠を横断したい」というリサの心の底から湧き出た目標や望みが、習慣を変えるためにもっとも重要な要素になったわけですね。


あなたの望みは何ですか?

その気持ちに素直になって、新しい習慣にチャレンジしてみてくださいね。


まとめ

最後にまとめますと、重要なポイントは3つ。

①習慣には「きっかけ」「ルーチン」「報酬」の3段階ループがあり、ワクワクするような「きっかけ」と「報酬」を決めること

②脳が無意識に報酬を期待したり欲するようになると、習慣のループが作動し始め、ひとつの習慣が生まれること

③そして、最後に、心の底から湧き出る目標や望みを大切にすること


以上がまとめになります。

最後に、 このコラムが、あなたの新しい習慣の「きっかけ」になったとしたら、それほど嬉しいことはありません。

ということで、今回は、「習慣の力」という全米でベストセラーになった1冊を紹介させていただきました。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。




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